公園の南 太陽は西
柔らかな陰影を纏ったチャコールグレーの外壁が印象的なその建物は、都市部の賑やかな駅前商店街から程近い、平均的な規模の住宅が高密度で建ち並ぶエリアに位置します。
建物を設計するにあたっては、敷地が北西角地であるため、屋内への必要十分な採光を得るための窓は、隣家が近接している南側と東側ではなく、道路に開かれた北側か西側に設けるのが必然でした。一方で、敷地の北側には道路を挟んで小さいながらも緑豊かな公園が向き合っているという幸運にも恵まれていました。
そこで、公園に面している北側の壁には2層分の吹抜に面した大きな窓を上下に設け、天空光を最大限に取り込む空間構成としました。
さらに、夏場は強烈な西日に照らされるであろう西側の壁から思い切って窓を無くし、あえて大胆な曲面による造形的な外観デザインとしました。
その結果、大きなハイサイドライトとテラス窓から見える明るく豊かな公園の緑を借景にして、日射しの色や陰影の影響を受けず、常に一定の明るさをもたらす天空光に満たされた爽やかな居住空間と、窓のない曲面による造形的な外壁に、西日と永久日陰が織りなす柔らかな陰影が印象的なモノトーンのファサードが実現しました。
北西角地であることの魅力を最大限に具現化した、都市型のオアシスです。