穏やかさと 美しさと 。
豊かに広がる梨畑に面して控えめに佇むその住宅は、外からうかがい知ることの出来ない特徴を内に秘めています。
その特徴とは、上下に重なる家族の寝室・個室を陸上競技場のトラックのようにぐるっと一周取り巻く、吹抜空間の『回廊』です。
この『回廊』は、1階の老両親がスムーズに移動するための寝室を中心とした “回遊動線” として機能する他、2階の家族がプライバシーを確保しながらも1階の様子を気に掛け、2階のどこにいても1階の気配をそれとなく感じ取れる、つかず離れずの関係を築くことを目的としています。
そしてこの『回廊』は、天空からの光を1階の隅々まで、穏やかに心地よく行き渡らせる役割も果たします。
人と光が回遊する、穏やかな光に包まれたインテリアです。
老両親の移動への配慮から丸く仕上げられた家具や壁が演出する光と影のグラデーションは、機能から導かれた美しさです。
壁・天井と建具の仕上げは調湿・調光機能のある土佐和紙貼りとなっており、しっとりとやわらかに透過あるいは反射された自然光に満たされた空間は、境界が消えていくような広がりを感じます。
機能とかたちが調和する、美しい光に満たされた住宅建築です。